about 4 years ago

最近 Ahlfors を読んでて面白そうな定理があったのでまとめてみました

複素関数論の話です。
といっても多項式しか出てきません

Gauss-Lucas の定理

\(p(z)\)を複素係数の定数でない多項式とする. この時, \(p'(z)\)の全ての根は\(p(z)\)の全ての根を含む凸閉包に含まれる.
(wikipedia)

例えば

$$
p(z)=1+z+z^{2}+z^{3}+z^{4}+z^{5}+z^{6}+z^{7}
$$

を考えます。
\((z-1)p(z) = z^{8}-1 \)よりこの多項式の根は 1以外の8乗すると1になる複素数 ですからこれらの根を含む最小の凸閉包は下図のようになります


Gauss-Lucas の定理 によれば\(p'(z)\)の根はこの凸閉包に含まれるはずです。

$$
p'(z) = 1 + 2z + 3z^{2} + 4z^{3} + 5z^{4} + 6z^{5} + 7z^{6}
$$

これの根を求めたいのですがうまい方法が思いつかないのでニュートン法で調べることにしました。(根探査のプログラム)
下図の青い領域の頂点が\(p'(z)\)の根です


ちゃんと含まれていますね!
Gauss-Lucasの定理 を繰り返し適用すれば\(p''(z)\)の根は更にこの青い領域の中に含まれるはずですよね?
同様にどんどん根の分布は小さくなっていくはずです。
根を持つ6階微分まで描いたのが下図になります。

どんどん中に入って行きますね!
根が2つの時は次の根がその線分上に乗っているのもわかると思います

それでは証明してみましょう
この証明はwikipediaを参考にしています

証明

代数学の基本定理は既知としてn次多項式\(p(z)\)は重複を数えたn個の根\({a_i}\)によって

$$
p(z) = \alpha\prod_{i=1}^n(z-a_i)
$$

のようにかけます.
これより積の微分法を使うと

$$
p'(z) = p(z)\sum_{i=1}^n\frac{1}{(z-a_i)}
$$

となります。
\(a\)を\(p'(z)\)の一つの根としてまず\(p(a)\neq 0\)となる場合を考えると

$$
\frac{p'(a)}{p(a)} = \sum_{i=1}^n\frac{1}{(a-a_i)}
$$

それぞれの項の分母に共役をかけると

$$
\sum_{i=1}^n\frac{1}{(a-a_i)} = \sum_{i=1}^n\frac{\overline{a}-\overline{a_i}}{\left|a-a_i\right|^2}
$$

また\(p'(a)=0\)より

$$
\sum_{i=1}^n\frac{1}{(a-a_i)} = 0
$$

よって

$$
\overline{a}\sum_{i=1}^n\frac{1}{\left|a-a_i\right|^2} =\sum_{i=1}^n\frac{\overline{a_i}}{\left|a-a_i\right|^2}
$$

となりますがここで

$$
w_i = \frac{\frac{1}{\left|a-a_i\right|^2}}{\sum_{i=1}^n\frac{1}{\left|a-a_i\right|^2}}
$$

とおくと

$$
\overline{a} = \sum_{i=1}^nw_i\overline{a_i}
$$

となり両辺の共役をとると

$$
a = \sum_{i=1}^nw_ia_i
$$

と書けます.
\(w_i\)は実数であり\(\sum_{i=1}^nw_i=1\)であることから\(a\)は\(a_i\)の重み付き平均になっており\(a_i\)を含む凸閉包に含まれていることがわかります.
\(p(a)=0\)となる場合は\(a\)は\(p(z)\)のいずれかの根に一致しているので明らかです.
Q.E.D.

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