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アドベントカレンダーとはなにかについては1日目の記事がうまく説明してるのでそっちを参考に!

テーマは「おすすめの本」です

※この記事はCA14 Advent Calendar 2013の3日目の記事です。

『指数・対数のはなし』

森毅 著

自分が大学で過ごした4年間はほとんど数学を中心にした生活でした。
数学科ということもあり必然的に数学を勉強することになったのですが
それ以前に自分自身この学問がとても好きでもありました。

数学の専門書は他の分野の専門書とは違ってすこし特殊です。
その本を読めば物理学の様に実験ができるようになるわけでもなく情報学の様にプログラムが書けるわけでもなく目に見えて何かができるようはなりません。(ある意味で数学の目を養えばその限りではありませんが)
その点では小説などに近く、書いてあることからその向こうにある世界を想像し旅することが目的であります。
ただ小説と違うのは想像される世界が実世界ではなく数学の世界だということです。

この本はその数学の世界の中でも「指数・対数の世界」への旅案内として書かれています。
多くの数学の本は数学の本として書かれているわけですから旅案内として書かれたこの本はとても親切であります
数学の世界を学ぶという姿勢であれば世界を理解するための苦しみを味わわなければいけませんが
旅をするという気構えであれば楽しみんで読むこともできましょう

掛け算を知った人が

$$
2, 2\times 2, 2\times 2 \times 2, \dots
$$

なるものを考えた時、その煩わしさ故に

$$
2, 2^2, 2^3, \dots
$$

という記法を思いつきました。
煩わしさの解消というのは時に豊かな世界に開けているもので、略記であったはずの指数も辻褄を合わせていけば未だ知らぬ豊かな世界への入り口であったのです。

旅案内は 指数・対数 から始まり 微分複素数振動 といった数学の世界を巡っていきます。

こうして, 式がいろいろ出てくると, それでうんざりする人もいるが, ... こうした式をおもしろがったほうが, 楽しいぶんだけ得だ。

本文にもこう書かれている通りこの本は旅案内ですから 微分複素数 などといった世界も行ったことがある人は思いを馳せればよし、まだ行ったことのない人は案内に従って旅をすればよいのです。
理解して証明ができるようになることも大事ですが、旅なのですからまずは楽しみましょう
(自分で証明してみるのももちろん楽しいことです。旅の恥は掻き捨て ともいいますし)

案内の途中には

$$
e^{i\pi} = -1
$$

という 数学における最も美しい等式 も出てきます。

偶然なのですが自分の二日前の記事で複素数の指数・対数について書きました。
指数関数の周期についてや対数関数の多価性についてはぐらかしたとこもあるのですがこの本ではそこへもちゃんと案内されていました。

この本を書かれたのは森毅先生という大変有名な先生で自分も高校生の頃に先生の本を読んで数学の世界に憧れたものです。

先生は多くの本を著されているので文章もとてもおもしろく気づけば数学の本であったことを忘れてしまいましょう。
何度も言うようにこの本は旅案内であり数学科の人もそうでない人も理系の人も文系の人も老若男女楽しめる読み物として書かれています。
この本を機に数学の世界を覗いてみるのも楽しいと思います

残すところもあと22日となりました。
今年は暖かい部屋の中で静かに クリスMath を過ごすのも良いではないでしょうか(´ω`)

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